Home 家づくりのまなびば防災 21:耐震診断と補強

21:耐震診断と補強

地震が頻繁に発生する日本において新しく建てられている建築物は耐震的にかなり強くなってきたと考えられます。
そこで、家づくりに関して「耐震基準」とは、どのような根拠で決められているのか?
耐震診断から補強工事まではどのようなプロセスが必要なのか?
地震に強い工法は?
などなど、今回は、耐震診断と補強について学んで行きましょう。

 

耐震基準の変遷

我が国において、「耐震基準」は大地震と密接な関係にある事をご存じでしょうか。

行政は関東大震災(1923年)以降、下記の表に示されているように大地震が発生するたびに「耐震基準」が改正されてきました。さらに東日本大震災を教訓に2013年には「耐震改修促進法」が改正されています。

日本の「耐震基準」は過去の地震や暴風による多大なる被害を経験し、法律を改正しながら建築物の耐震性能の向上を図っています。

防災士教本より引用

 

耐震診断と補強

耐震診断とは、既存の建物にどれくらいの耐震性能があるかを調査するものであり、人間でいう健康診断のようなものです。2004年に大改正された木造住宅の耐震診断基準は、特に大地震での倒壊の可能性の有無に焦点を絞ったものとなり、更なる地震に強い家づくりを進めるけん引力となっています。

内閣府が2018年に発表した「防災に関する世論調査」(2017年11月調査)によれば、住まいの耐震診断を実施している人の割合は28.3%、実施していない人は51.5%でした。耐震診断は都市部の方が小都市や市町村より高い傾向にあります。また、年齢別では60歳代、70歳代が高くなっています。

では、耐震診断の方法について順を追って説明していきます。

(1)「誰でもできる我が家の耐震診断」

「誰でもできる我が家の耐震診断」は、耐震診断をより身近なものとして捉えてもらえることを目的に一般のユーザーを対象としたもので、住宅の耐震性に係るポイントを知ってもらうことで専門家による耐震診断への誘導を図ったものです。

「誰でもできる我が家の耐震診断」のリーフレットは(一財)日本建築防災協会のホームページからダウンロードできます。診断内容は10項目の問診から構成されており、問診の内容は、YesかNoかで答えられるものとなっています。

《日本建築防災協会ホームページ》

http://www.kenchiku-bosai.or.Jp/files/2013/11/wagayare.pdf

(2)一般診断

一般診断は、補強の必要性の高い箇所を選定することを主な目的とし、建築士や大工、工務店などの建築関係者が行うことを想定したもので、原則として非破壊の検査で分かる情報による診断となっています。

(3)精密耐震診断

精密耐震診断は、一般診断で補強の必要性が高いと判断された住宅について、本当に補強が必要かどうかの最終判断をすること、及び補強設計をした場合の妥当性に関する診断を目的としたものです。
一般診断及び精密耐震診断を希望する場合は、診断を行う事ができる設計事務所などに直接依頼する事となります。

(4)耐震診断の流れ

耐震診断の流れを下記に示します

防災士教本より引用

(A)の場合は、専門家による一般診断を行い対象の建物の補強の有無を判定してもらいます。一般診断で補強の必要性があると判断された場合、精密耐震診断へと進みます。

精密耐震診断でやはり補強が必要と判断された場合には、補強設計を行います。適切な補強方法を考え、その補強方法で所定の耐震性能が得られているかを、また精密耐震診断で判断します。目標とする耐震性能が得られた場合、その設計に従い補強工事を実施します。

一般診断を省略した(B)は、補強工事を前提とした場合には有効な方法でしょう。

(C)は、一般診断の後、精密耐震診断を省略して補強設計を実施するもので、一般に目標以上の補強工事を行う事になる可能性があります。

 

耐震補強

精密耐震診断の結果に基づき、補強が必要とされた部位について補強工事が行われます。

耐震補強工事を必要とする理由としては、

  • 地震の揺れに抵抗する壁(以下耐力壁)の量が不足していること。
  • 耐力壁の量は足りているが接合部や部材の劣化等により耐力壁が本来の性能を発揮できず、必要な安全性が不足していること。
  • 耐力壁の配置がアンバランスで局部的に大きな変形や破壊を生じ、効率的に所定の安全性が得られないこと。

その事を改善するにおいて

  • の補強方法として、窓などの開口をつぶして新規に耐力壁を増やす方法や、すでにある壁を性能の高い耐力壁に変更する方法、また建物が重いと大きな地震力が働くことから、屋根の部材をより軽い仕様に変えるなどして建物を軽くする方法があります。
  • の補強方法としては、引張力が働く柱と土台などの横架材の接合部を適切な方法で補強する方法や、劣化した部材の交換する方法などがあります。

 

地震に強い工法

高層建築や公共建築などの大規模ビルだけでなく、近年は一般家庭の住宅においても新耐震基準の耐震性を確保し、より地震に強い構造を目指して、様々な工法が開発されています。

典型的な工法として、「耐震」「制震(制振)」「免震」があります。

「耐震」は、壁や柱など建物の構造自体を強化し、建物そのもので振動エネルギーを受け止め、地震の力に耐えられるようにする工法です。

「制震(制振)」は、ダンパーなどの振動低減装置を設置し、建物に伝わる地震の揺れを吸収しながら、振動を抑える工法です。

「免震」は、地面と建物の間に入れた免振装置が地面と建物の縁を切り、建物に振動が伝わらないようにする工法です。

防災士教本より引用

 

新築の家づくりにおいて、とても高いレベルでの耐震性能を持った建物が標準として建てられていますが、既存の建物はまだまだ新耐震基準に満たない建物が多く存在しています。

先ず、我が家は耐震的にどのくらいのレベルにあるのかを正確に知り、必要に応じた耐震改修工事が大事となります。

昭和56年(1981年)5月以前の木造の場合、耐震診断から耐震改良工事に於いて各自治体で補助金等の制度がある場合がありますので自治体の担当部署にご相談してみて下さい。

 

次回のテーマは、「災害と損害保険」です。自助対策として、地震保険や火災保険などに関し学んでいきましょう。

0 コメント
0

You may also like

コメントする

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

本サイトはユーザーの利便性向上を目的に、Cookieを使用しています。「同意する」をクリックいただき、Cookieポリシーに同意をお願いいたします。 同意する プライバシーポリシー