Home 家づくりのまなびば防災 18:企業・団体の事業継続 

18:企業・団体の事業継続 

コロナ禍において、テレビやラジオのニュースなどで最近「BCP」と言うワードを耳にしませんか?

例えば、新型コロナウイルスの感染者の増加は医療体制をひっ迫させやるだけでなく、コロナ陽性者や濃厚接触者となっての入院や隔離・自宅待機等により、エッセンシャルワーカーをはじめ、あらゆる企業や団体・行政に働く社員や職員の出社人数が減り、通常の業務が出来なくなり仕事(社会)が回らなくなってしまうことが考えられます。その様な事態を予め想定し、対策を講じる計画を「BCP(事業継続計画)」と言います。今回はその「BCP」について学んで行きましょう。

 

■企業・行政が取り組むべき活動

日本における防災分野の最上位の計画は、この「コラムの11」でも書きましたが、中央防災会議が策定する「防災基本計画」です。この防災基本計画は、「国民の防災活動の環境整備」のひとつとして「企業防災の促進」が揚げられており、企業の取り組むべき事項と企業の取り組みに対する行政側の支援活動を明示しています。

・企業の取り組むべき事項として

  1. 災害時に果たす役割は、「生命の安全確保」、「二次災害の防止」、「事業の継続」、「地域貢献・地域との共存」であることを認識すること。
  2. 各企業に於いて災害時に重要業務を継続させるための「事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)」を策定・運用するように努める。
  3. 防災体制の整備、防災訓練の実施、事業所の耐震化、予想被害からの復旧計画策定、各計画の点検・見直しを継続的に実施するなどの防災活動の推進に努める。

・行政側の支援活動として

  1. 国及び地方公共団体は、企業防災に資する情報を提供し、「BCP」の健全な発展に向けた条件整備に取り組む。
  2. 国及び地方公共団体は、企業のトップから一般職員に至る職員の防災意識の高揚を図ると共に、企業の防災に係る取り組みの積極的評価などにより、企業の防災力向上の促進を図る。
  3. 地方公共団体は企業を地域コミュニティーの一員として捉え、地域の防災訓練などへの積極的参加を呼びかけ、防災に関するアドバイスを行う。

が示されています。

更には、2013年6月の「災害対策基本法」の改正や、「国土強靭化基本計画」においても「BCPの構築促進・普及」が盛り込まれています。

 

■事業継続計画(BCP)のニーズが高まっている背景

⒈ リスクの多様性と切迫性

南海トラフ巨大地震や首都直下地震など巨大地震の切迫性が指摘され、台風や集中豪雨などの水害、新型感染症など、企業の存続を脅かすようなリスクがあります。

⒉ 事業継続計画(BCP)の実効性

東日本大震災を経験しBCPが有効に機能し事業が継続できた、その一方で、復旧の遅れが企業の存続にかかわる深刻な事態に及ぶ恐れがあることを実感した企業が多くいました。

⒊ サプライチェーンの進展

製造業を中心にサプライチェーンが進展し、原材料や部品の供給、輸送、販売などを担う取引先の被災は、国内外を問わず連鎖的な事業中断に波及するリスクが増大しています。

⒋ 企業価値の向上

企業は社会的責任(CSR:Corporete Social Responsibility)を果たすために、株主や取引先へ波及する経済損失を抑えなければなりません。また、従業員の安全・安心を確保する必要があります。

 

■事業継続計画(BCP)の考え方

事業継続計画(BCP)は、「大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など不測の事態が発生しても、重要な業務を中断させない、または中断しても可能な限り短い時間で復旧させるための方針、体制、手順等に加え、被害やその影響を小さくする事前対策など事業継続を達成するための計画となります。

その計画は、組織の安全と財産を確保したうえで事業継続を目指す計画ですので、下記のような平常時から予め準備すべきことがあります。

⒈ 重要業務(中核事業)を特定する。

被災後は経営資源(人・物・施設・情報・インフラなど)が限られるので、経営上最優先で継続、復旧に取り組むべき重要業務(中核事業)を決める。

⒉ 目標復旧時間・目標復旧レベルを定める。

いつにまでどのレベルまで重要業務(中核事業)を復旧すれば「顧客との取引を持続できるか」、「自社の財務が破綻しないか」などの視点で設定する。

⒊ 取引先と予め協議しておく。

いつまでに、どこまでの製品・サービスを提供できるかについて、取引先と共通認識を持つ。連絡方法も取り決めておく。

⒋ 事前対策や代替策を用意しておく。

経営資源について、災害時でも利用できるよう事前に対策を打ったり、代替策を用意する。

⒌ 従業員と事業継続計画(BCP)の方針や内容について共通認識を持つ。

緊急時に経営者はどう行動するか、従業員にどう行動してほしいか、事前に話し合い、決めておく。

 

防災士教本より引用

 

 

■事業継続計画(BCP)策定のポイント

⒈ 指揮命令系統の明確化

災害対策部署は迅速な意思決定を行うため、対策本部長以下はフラットな組織とし、情報収集・広報・現場対応・顧客対応などの機能を持たせる。

⒉ 代替拠点の確保

代替拠点では必要な資機材を確保し、情報システムが使える環境を整備する。また、同業者や取引先との連携も確保する事も有効である。

⒊ 要員の確保

従業員だけでなく、その家族も含めた安否確認体制の確立と重要業務(中核事業)の継続に不可欠なキーパーソンの洗い出しをしておく。

⒋ 情報発信及び情報共有

固定・携帯電話の輻輳(ふくそう)を想定した電子メールやインターネット電話、衛星携帯電話など複数の連絡手段の確保と、災害発生後の情報共有を図るべき関係先のリスト化と協議を平常時より行う。

⒌ 訓練・演習の計画・実施

事業継続計画(BCP)の実行性の確認、担当者や組織全体への定着のための訓練・演習を計画・実施する。

 

 

このコロナ禍において建築業界においては、海外のロックダウンなどにより半導体の不足が起き、給湯器や洗浄便座・コンロ・食洗器・照明器具などの建築資材の欠品が相次ぎ、新築工事が完成できずお施主様に引き渡しが出来ない建物があったり、給湯器の欠品によりお風呂に入れないお客様が居たりと、混乱が生じています。

 

匠の会におきましては、災害時に各会員社同志の連携を持つため災害協定を結んでおります。また、パートナー企業とも連携を図り、日頃より災害対策に取り組んでいます。

 

次回のテーマは、「自分で行う地震・津波への備え」です。

いざ被災した時、迅速な行動が行える知識を身につけましょう。

 

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