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11:行政の災害対策と危機管理

「危機管理」という言葉が自然災害による被害対応に関して使われるようになったのはいつの時からでしょうか?

答えは、1995年の阪神淡路大震災のときからです。

この頃から、「危機管理」という言葉は、「国家的危機に対する国家首脳の対処」という言葉から大きく拡大し「危機」とは「社会に重大な被害を及ぼす事象」を意味し、これには自然現象も人為的被害も含むようになりました。今回はその様な「危機」に対する対策と危機管理に対し国や地方公共団体の管理体制を学んでいきましょう。

 

日本の危機管理の根幹となっている法律は「災害対策基本法」と言います。
この法律は、国や地方公共団体等の責務や組織、防災計画の作成と義務、財政金融措置をはじめ、市町村長による避難勧告、避難指示の発令について定められています。

「災害対策基本法」の基本の枠組みは、防災対応サイクル(第1~3のフェーズの循環)にそって行政が実施すべき事項を定めています。

・第1フェーズ(災害予防対策)

防災基本計画の策定や指定公共機関の指定、地域防災計画の策定、防災訓練や物資の備蓄などが有ります。

・第2フェーズ(災害応急対応)

公的機関による警報の発令や消防、警察、海上保安庁に対する出動命令や要請。住民に対する避難勧告・指示、警戒区域    の設定。更に、応急の公費負担、知事の応急措置及び代行が有ります。

・第3フェーズ(復旧・復興) 

災害復興事業やその事業の国の負担や援助。被災自治体に対する国の特別援助(激甚災害に対する措置)や被災した中 小・農林事業者に対する支援となっています。

                   図1防災対応サイクルの概念

 

「災害対策基本法」では、防災対策の第一次的責務を市町村に担わせる「災害における市町村中心の原則」を取っています。その理由は、住民に最も身近な行政機関である市町村がその実情を最も知っているはずだからです。

また、この法律を大規模災害発生以前に手を打てるように国の災害対策本部を「災害が発生する恐れがある段階」で設置できるように改正も行われています。

そしてその危機管理体制の特徴として、

  • 現地本部と中央本部の設置
  • 権限は分散でなく集中
  • 意思決定方式はトップダウンが原則

となっています。

我が国の防災計画は、中央防災会議が作成する「防災基本計画」と言われる最上位の計画が有ります。

その計画に基づき指定行政機関(国の省庁、独立行政法人等)及び日本銀行、日本赤十字社、NHK、NTT、電力会社、ガス会社、JR等、国などから指定を受けた「指定公共機関」は「防災業務計画」を作成し必要な対策を行う事が義務づけられています。

この計画は防災基本計画に基づいて指定公共機関や指定行政機関が作成する防災業務の計画です。
そして、それぞれの地域の実情に即し、その地域の防災機関が防災の為に処理すべき業務などを具体的に定めた計画が「地域防災計画」で、各地方防災会議又は市町村長が防災基本計画に基づき作成されています。
更に、地域コミュニティーにおける共助による防災活動の推進の観点から、市町村内の一定区域の居住者及び事業者(地区居住者等)が行う自発的な防災活動を「地区防災計画」とし策定され、市町村内の一定地区の居住者並びに事業者が行う自発的な防災活動を記しています。

そのように、順次「防災基本計画」から下位の計画が作成されより地域に根差した防災計画がつくられています。
そして、災害時には、自助・共助だけでは十分な対応が難しい災害対応や救助などに対し、消防、警察、自衛隊等の実働機関における公助が行なわれています。

 

我が国における「危機管理」は、国や行政だけでなく国民全般においても意識はかなり低いのが現状だと思います。
東日本大震災が発生したした時、全国的に展開をしているある工務店の組織では、自発的に被災した地域を援助するため、様々な物資を被災した工務店各社に届けるなど今で言う「プッシュ型支援」(被災地からの要請を待たずに支援物資などを送ること)を実行していました。
日頃からの深いコミュニケーションがこのような事態に於いての共助に繋がったものと思います。

平時においても、住民同士、住民と行政、行政組織間の「危機管理」における共有を今以上に進めることが自分たちの命を守る重要な事となるのです。
匠の会では、被災した会員社のいち早い復旧を支援する為に、災害協定を結んでいます。各社にて災害備品も備蓄あり、地域の復旧の拠点になれるように備えております。

次回のテーマは、「行政の災害救助・応急対策」です。
自分の命を守る為、災害について学んで行きましょう。

 

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