洗面とはなんのためにあるのか?
株式会社丸中工務店
『2021年10月、千葉県北西部を震源とする、M5.9 東京都23区で震度5強の地震が発生し、都市の交通、水道等のインフラに大きな被害が発生しました!』
上記のような災害がもしも発生した場合に想定される被害の規模を過去の被害事例などから分析して求めれることを被害想定といいます。地域で起こりうる災害の危険性と、災害への備えの必要性を地域住民に周知させるために作成するハザートマップの基礎資料としても活用されています。
今回は、国や地方自治体が作成している、被害想定とハザードマップ、その活用方法について学んで行きましょう。
被害想定
1.被害想定とは
地震などの災害が発生して場合に想定される被害(人的被害や家屋被害)の規模を、過去の被害事例窓から分析して求められる「被害推定式」や、コンピューター等によるシミュレーションによって推定したものがあります。
2.被害想定の項目
被害想定される主な項目は、おおむね表1の通りです。季節や時間帯、気象条件等の設定により異なります。例えば、地震災害で発生する火災による出火件数は、暖房を使用する冬としない夏、「夕食の準備で火気を使用する夕方」と「起床する前の朝方」では異なります。このため被害想定では、それらの諸条件を設定して推定しています。
尚、予想技術・研究は進歩しているものの、想定項目のすべての被害が定量的に推測される訳ではありません。高層ビルの被害、パニックが発生した時の人的被害、PTSDなど定量的な推計に至らず、定性的は評価にとどまる項目もある。
被害想定結果の事例として、表2は、東京都が公表している「首都直下地震等による東京被害想定」の一部です。
3.被害想定の活用上の留意点
被害想定は、様々な前提条件のもとに作業が実施されます。基本となる地震の位置や規模、地震が発生する既設や時間などがあり、これらの要素が変化すると大きく変わります。したがって被害想定を見るときは、どのような前提に基づいているかに注意が必要になります。
また、被害想定の結果を見た際に、「自分の所は他の地域に比べて被害が少ないから大丈夫」と、安心感を持つことは危険です。災害を語る時、「想定外」と言う言葉を良く耳にしますが、予測もしなかった場所で地震が発生したり、規模の大きいものが発生したりする可能性もあるからです。誰もが、自助・共助の意識を持ち、災害に備える事が重要です。
ハザードマップ
1.ハザードマップとは
災害が発生した場合に、災害現象により影響が及ぶと想定される区域及び避難に関する情報を地図にまとめたものであり、平時より住民の防災意識の啓発と、災害時における円滑な避難行動の促進によって人的被害の軽減を図る事が目的とされています。
2.ハザードマップの種類
①洪水ハザードマップ
河川の破堤・反乱などの浸水情報や、避難に関する情報を住民にわかりやすく提供しています。国土交通省の「わがまちハザードマップ」(2020年2月現在)には、1,349市町村で公表されています。
記載項目は、原則としての共通項目と、地域の状況に応じて記載する地域項目があり、地域項目には、氾濫特性、避難時の心得、地下街の情報などの「避難活用情報」と、水害発生メカニズム、過去の洪水に関する記事、水害に備えた心構えなどの「災害学習情報」があります。
土砂災害の危険性が高い地域のハザードマップには、浸水想定区域と合わせて、土砂災害警戒区域や土砂災害危険個所が記載されています。
また、近年では、集中豪雨の頻発化に伴い、下水などがあふれて浸水する、内水氾濫の被害が増えている為、内水ハザードマップの作成が進められています。
参考資料 東京都北区 荒川洪水ハザードマップ
②火山ハザードマップ
火山が噴火した場合にどの様な現象(火砕流や溶岩流、火山灰など)が発生し、それがどこまで到達するかを表しています。地域によっては、火山現象の到着予測だけでなく、避難場所・避難経路・ヘリコプターの緊急発着場所など防災対策に役立つ情報を掲載しています。
③津波ハザードマップ
津波による浸水が予測される区域と浸水の程度を示した地図に、避難場所・避難経路などが記載されています。適切な避難に必要な津波の危険度、避難場所、避難経路及び避難の判断に必要な情報を提供するために作成される需要な資料です。
東日本大震災では津波によって甚大な被害が発生したが、今後も東海・南海地震等の発生可能性は年々高まっており、津波による被害を最小限する為に防災対策を急がなければなりません。
3.ハザードマップの活用と課題
①ハザードマップの有効性
ハザードマップは最新の知見に基づいて作成されているので、的確にこれを活用するならば人命・財産を守るために有効である。2000年の有珠山の噴火、1990~95年雲仙普賢岳の噴火などでは、火山防災マップが活用されました。
2015年茨城県常総市での鬼怒川決壊や、2018年岡山県倉敷市の洪水では、浸水状況はハザードマップとほぼ一致しました。
②ハザードマップ利用の課題
東日本大震災は、あらかじめ用意されていた被害想定を超えた災害であったが、その一方で津波の浸水想定区域内にあるにも関わらず、避難しなかった人々がいたなど、様々な問題点が浮き彫りになりました。被害想定やハザードマップは、発生場所・規模など一定の前提条件に基づき定められるものであり、それ以上の被害をもたらすような災害の発生可能性を排除するものではありません。その意味では、被害想定、ハザードマップには限界があることも事実です。
私たちは今までに、台風・集中豪雨・地震・津波・火山噴火・土砂災害などなど、様々な災害を経験し、乗り越えてきました。しかし今後もかなりの確率で大災害が起こると言われています。その災害に向けて、被害想定やハザードマップを正しく理解し、自らの命を守るためのツールとして有効活用できるノウハウを身につけましょう。
※参考 国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」はこちらです
↓
https://disaportal.gsi.go.jp/index.html
私たちは今までに、台風・集中豪雨・地震・津波・火山噴火・土砂災害などなど、様々な災害を経験し、乗り越えてきました。しかし今後もかなりの確率で大災害が起こると言われています。その災害に向けて、被害想定やハザードマップを正しく理解し、自らの命を守るためのツールとして有効活用できるノウハウを身につけましょう。
火災発生のメカニズム
物が燃える為には①熱エネルギー ②可燃物 ③酸素が必要で、それを「燃焼の3要素」と言い一つでも欠けると燃えなくなります。そして、火災は、地震や台風などの自然災害と違い、人為的行為と自然現象の両方の要素を含む「複合要因災害」と呼ばれております。
自然発火による林野火災や地震による震災火災などの自然現象に基づく火災もありますが、大半の原因は故意または過失による人為的行動が原因と言われております。
今回は、住宅火災を含めた火災の種類と予防について学んでいきましょう。
●建物(住宅)での火災
- 出火の状況
近年の日本国内の出火件数・死者数はおおむね減少傾向であり、件数は2019年のデータにおいて10年前の73.7%、死者数は79.2%になっています。全火災の55.7%が建物火災で、も多くなっています。四季別にみると、ストーブなどの火気を使用する冬季が多くなっています。
- 火災による死傷者
2019年の火災による死者数は1,486名で前年より増加しており、1日当たりの死者数は4.1人です。負傷者は5,865人で、2005年度より減少傾向にあります。死因は火傷が最も多く、次いで一酸化炭素中毒・窒息となっています。死亡に至った経過は、深夜1~4時の時間帯が多く逃げ遅れが47.3%で、65歳以上の高齢者が70.0%を占めています。
- 出火の原因
2019年中の出火件数37,683件のうち、失火(過失のある火災)による火災は全体の73.5%となっています。出火原因別にみると「たばこ」が3,581件と最も多く、ついで「焚火」「こんろ」となっています。
●出火防止と対策
事前の出火対策としては、建物の耐震対策、家具等の転倒防止対策、消火器等の設置、感震ブレーカーの設置、2006年に義務化された住宅用火災報知器の設置などが挙げられます。
まずは、火を出さない事。出てしまった場合には出火を知らせる・消火する。その為に、上の表を元に行う事が大切です。また、地震や洪水等で避難する際は、必ず電気ブレーカーとガス栓を遮断するようにしましょう。停電等の復旧後、漏電や暖房等のスイッチが入る事により火災が発生する場合があります。
最後に、火災報知器が2006年に義務化されて、15年が経ちました。電池式の火災報知器はおおむね10年で電池が無くなる製品が多く設置されています。いざと言うとき作動しなければ意味がありませんので、ご自宅の火災報知器を一度確認してみてください。テスト用のボタンや紐がある製品が多く出回っておりますので、簡単に確認できます。
電池切れだったり、まだ設置されていない方がおりましたら、お近くの工務店等にご相談してください。火災から命を守る第一歩です。
次回の07では、「猛威を振るう新型コロナウィルス感染症」について学んで行きましょう。コロナ感染症は、人類を襲う大規模災害と言っても過言ではないでいと思います。命を守り、災害から生き残りましょう。
気象災害・風水害による災害発生のしくみ
最近の日本列島は、巨大台風や局地的大雨に襲われており、甚大な被害が発生しています。
2019年の千葉県に大きな被害をもたらした台風19号や、2021年の熱海を襲った大雨などは、記憶に新しいと思います。
ゲリラ豪雨や線状降水帯など一度は耳にした事があると思いますが、気象現象について改めて学んでみましょう。
- 地球温暖化と異常気象
二酸化炭素を代表とする温室効果ガスは、熱が宇宙空間に逃ないように必要な物質であるが、多すぎると気候変動を招くと考えられており、過去80万年間で前例のない位増加しています。2018年~2019年のCO₂の増加量は最近10年間で最高を記録しています。
今世紀末には、世界の温度が0.3℃~4.8℃上昇、海面水位が26cm~82cm上昇し、気象変動に伴い、極端な高温や熱波、大雨の頻度が増加する可能性が高いとされています。
近年、マスコミ等の報道により、ゲリラ豪雨や線状降水帯などの言葉を耳にした事があると思いますが、これも気象変動が原因とされています。
ゲリラ豪雨 : 地球温暖化や大都市のヒートアイランド化などが原因となって起こる、
局地的で突発的な予測困難な豪雨
線状降水帯 : 積乱雲の大気下層に新たに積乱雲が次々と発生し帯状に連なり、
同一地域に長時間にわたり大雨を降らす現象
エルニーニョ現象 : 太平洋東部赤道域における海水温度が高くなる現象。
東日本西日本で暖冬になる。
ラニーニャ現象 : エルニーニョ現象とは逆に、海水温度が低くなる現象。
西日本と南西諸島が冷夏になる。
- 台風と風雨の被害
太平洋赤道付近の暖かい海水が蒸発して発達した積乱雲の集合体であり、北半球では、反時計回りの回転をして、強い雨と風を伴う熱帯低気圧である。
中心付近の風速が17.2m/s以上になると、熱帯低気圧から台風へと呼び名が変わります。
台風と風: 台風の強さは風速であらわされ、
強い(33m/s~44m/s)
非常に強い(44m/s~54m/s)
猛烈な(54m/s)以上 の三段階で表されます。
台風の大きさは
大型(風速15m4/s以上の半径が500km~800km)
超大型(上記の半径が800km以上) の二段階で表されます。
風速は、10分間の平均速度を基準にします。突風と言われる最大風速は、
1.5倍~3倍に達することがあり、暴風域に入る前から思わぬ突風に襲われる場合があります。
台風と雨: 台風の中心付近には濃密な積乱雲が渦巻いていて、風を伴った強い雨を降らせます。
台風の雨雲だけでなく、周辺の湿った気流が強い雨を降らす場合もあり、
本体の接近前から注意が必要になります。
台風と高潮: 台風の中心付近は気圧が低く、1hPa(ヘクトパスカル)下がると海面が1cm上昇する(吹上効果)。
さらに、台風の東側は南風が強く海水を陸地側に運ぶ。(吹き寄せ効果)
こうして、海面の水位が護岸より高くなり、高潮が発生する。
加えて、大潮のタイミングと重なると、高潮が大きくなり、さらに注意が必要となります。
近年、日本列島を襲う気象災害は、規模が大きく被害も甚大で回数も増加しています。
地球温暖化が原因の一つとされている以上、温室効果ガスの排出を減らす事が重要に
なります。低炭素社会の実現に向けて、小さなことから日々実践して行きましょう。
次回のテーマは、「土砂災害による災害発生のしくみ」です。
災害から命を守る為、災害について学んで行きましょう。
数多くの地震体験から学ぶもの 〜知っておくべき基礎知識〜
私たちの住む日本は世界でも有数の地震国、地震列島日本です。
近年では1995年の阪神・淡路大震災をはじめ、2004年の新潟県中越地震、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震が発生、特に東日本大震災巨大津波を伴う日本の歴史史上でも未曾有の災害として記憶に新しいと思います。
また、数多くの地震体験は日本の家づくりに関する「耐震」に関しての学びでもあるのです。
日本で地震が多いのは、日本列島の周辺に存在する4枚のプレート(太平洋プレート・フィリピン海プレート・北米プレート・ユーラシアプレート)ひしめき合い、その動きが地下の深い場所で地殻のひずみを生みそのひずみが元に戻ろうとして地震が発生します。
日本付近のプレート図
地震の基礎知識
地震には「海溝型地震」と「内陸型地震」が有ります。
「海溝型地震」はマグネチュード8クラスの巨大地震となり広範囲にわたり被害をもたらします、と同時に海底深くのプレートの跳ね上がりで大津波が発生する可能性が生じます。さらに細かくは、「アウターライズ地震」といい、海洋プレートが陸側プレートに沈み込む海溝と呼ばれる部分の海側側で起こる断層破壊による地震は震源も浅く、地震規模以上に巨大
津波を引き起こしやすいです。
海溝型地震のしくみ
更に、津波は遠い海外で起こった地震でも日本に到着します。1960年に起こったチリ地震(M9.5)では、地震発生から22時間後に8mを超える津波が到着し、大きな被害が発生しました。
また、「内陸型地震」は活断層の活動により局所的ですが甚大な災害を引き起こします。(直下型地震とも言われます)
震度とマグニチュードの違い
「震度」と「マグネチュード」の違いですが、
「震度」は人が感じる揺れの強さを表し、正確には「震度階」や「震度階級」と言われ0から7まであり5と6はそれぞれ強と弱に分けられ10段階あります。
「マグネチュード」は地震の規模を表す尺度で頭文字のMで表現されます。
マグネチュードが1.0上がるとエネルギーは約30倍になります。
地震と揺れ等の状況
もし、大地震が起きたら・・・
もし大地震が起きた時、私たちの取るべき行動は、建物の中に居た場合は、テーブル等の下に逃げ込み、クッションなどで頭を守りましょう。トイレや浴室に居た場合は扉や窓を開けて避難路を確保しましょう。エレベーター内にいた場合は、急いで全ての階のボタンを押し、エレベーターが止まった階で降りてください。
車に乗っていた時は、左側に停めて待機し揺れが収まったら、キーをおいて施錠せず連絡先を残して避難しましょう。
大きな津波が発生した時、私たちが取るべき行動は、行政の避難指示に従って、速やかに高台に避難しましょう。逃げ遅れた場合は、上階に避難しましょう(垂直避難)津波は、一度だけでなく何回も襲って来ますので、津波警報が解除されるまで、避難し続けてください。
一番大切な事は、自分の命を守る事を最優先に考えて行動してください。
2023年夏、コロナウィルス感染症も一段落しました。ウィルスが猛威を振るっていた時、ガス給湯器が不足したのを覚えていますでしょうか??
現在は供給不足もかなり解消されつつあり、修理や取替もスムーズに行えるようになりました。
そこで、今回は、ガス器具(特にガス給湯器)の経年劣化よる症状と交換時期について解説していきます。壊れてしまう前に是非、自宅の給湯器の点検や交換を検討してみてください。
ガス機器は、安全上支障なく使用できる標準期間である「設計上の標準使用期間」を定めています。使用頻度や使用環境などは各家庭の状況により異なりますが、家庭用で製造から10年と設定しています。
長期間機器を使用することで経年劣化が進み、火災や火傷、不完全燃焼による一酸化炭素中毒など、重大な事故につながります。
あなたの家の給湯機器の経年劣化度をチェックしてみましょう!
- 給湯器より異音やガスの臭いがする。
- 使用中にお湯が熱くなったり、冷たくなったりする。
- たまにお湯が出なくなる。
- 外装に錆がでたり、煤で黒くなっている。
- リモコンにエラー表示がでている。
- 給湯器より水漏れがする。
上記の症状が1つでも出ていれば、点検や交換の時期が来ています。大事故になる前に必ずメーカーやお近くの工務店にご相談ください。
尚、給湯器の種類について、別のコラムで解説しています。是非ご覧いただき、交換する際の参考にしてください。
(ガス給湯器について)
地球温暖化によって世界的に暖冬傾向とは言われていますが、
まだまだ日本の冬は厳しい寒いです。寒い季節の必須アイテムと言えば、暖房器具ですよね!
そこで今回は、床暖房について解説したいと思います。
床暖房は、熱源が床材の下に敷きこまれていて、床材を温める事により、床材全体からの
輻射熱と伝導、空気の対流によって部屋全体を均一にあたため、頭寒足熱の室内空間が実現できます。
ストーブなどの局所的に温める暖房器具とは違い、足もとから全身が温まる為、冷え性の方には特におすすめです。ガスや石油を熱源とした暖房は、室内で燃料を燃やしていますので、空気を汚染し、水蒸気を発生させ結露が発生したり、火災の原因にもなる為、お子様や、高齢者の方は注意が必要になります。
ストーブやこたつなどで部屋のスペースが狭くならないのもうれしいですよね!
1つ注意が必要なのが、使用する床材です。
含水率の高い無垢材のフローリングやビニール系の床材を使用すると、乾燥して収縮したり、表面が変色したりします。
床暖房対応の製品を選択しましょう。
床暖房の対応した、無垢のフローリングや畳、カーペット等々、様々な製品がありますので、施工会社に相談してください。
次回は、床暖房の種類(ガス温水式・電気式)について解説します。