空き家問題は全国的な課題ですが、地方と都市部では起こりうるリスクの程度が異なります。地方の方がより深刻な状況ですが、東京や神奈川などの都市部では住宅も人口も密集しているがゆえの課題があると言えます。
都市部に限らないことですが、空き家となりやすいのは築年数の古い住宅です。老朽化した住宅が取り壊されず放置されることで、災害時の倒壊リスクが高まります。特に古い木造住宅が密集するエリアでは、地震や火災による倒壊・延焼リスクが高く、遠くない将来に大規模地震が起こると予想されている首都圏では、喫緊な対策が必要ですが、進んでいないのが現状です。
都心部は地価が高いため、所有者が土地の活用に消極的になりやすく、結果として土地が活用されずに塩漬け状態となって、放置されてしまうケースがあります。こうした状況は、都市部の限られた土地資源の有効活用を妨げるだけでなく、都市の魅力や住環境の質を低下させる一因となります。また、空き家が多い地域は防犯・防災上のリスクがあると考えられ、治安の悪化を招きやすく、地域の不動産市場への影響も懸念されます。空き家が増加する地域では、周辺の不動産価値が下落する傾向があり、地域全体の経済活動や住民の生活に影響を及ぼす可能性があります。
首都圏の郊外住宅地では再開発が必要とされている地域が点在していますが、空き家の所有者が複数存在する場合、合意形成が進まず、土地の再開発が進まないケースが少なくありません。このような状況は、都市計画の遅れや地域の魅力の低下を引き起こします。
空き家問題は、行政にとってもデベロッパーにとっても、頭の痛い課題なのです。