床面や屋根面のことを構造計算では水平構面と呼びます。
水平構面には2つの構造的な役割があります。床面では、人や家具などの重さ(積載荷重という)や梁・床材などの重さ(固定荷重という)、屋根面では、雪の重さや小屋梁などの重さなどの常に垂直作用する力を支える役割は一般の方でもすぐに思いつきますが、もうひとつ重要な役割があります。
それは風や地震の力などの水平方向に作用する力を耐力壁等に伝える役割です。
この役割は構造計算の経験のない人にはなかなか理解できないと思いますが、一般的な壁量計算では、床や屋根の強さは一定で、水平力を各耐力壁に均等に伝えることを前提条件として成り立っています。
しかし最近は床を抜いて大きな吹抜を設けるプランや、リビングなどの大きな空間に階段や吹抜を設けるようなプランが多く見受けられます。このようなプランだと床の強さは均一ではなくなり、吹抜周辺の床には他の床よりも大きな力が加わり大きく変形してしまう為、1階の耐力壁に水平力を伝えることが出来なくなってしまいます。
屋根面も床と同じ役割を担っているため、勾配天井や吹抜などで意匠的に火打梁や小屋筋交を省略したりすると、屋根面に加わった水平力が均一に2階の耐力壁に伝わらなくなってしまいます。
建築基準法の壁量計算や仕様規定では大きな吹抜などは想定していません。
また建築確認申請時は、水平構面のチェックや計算書確認は省略されていますので、下の図の様な吹抜やデザインを重視したプランの場合でも建築確認が下り建築可能ですが、床や屋根の強度を計算で確認すると構造上NGになってしまうことが多く注意が必要です。
(大地震時は、床が大きく変形し、接合部が外れたり耐力壁が十分に働かず建物が損傷する可能性が大きくなります。)