Home 偏心率って何?

偏心率って何?

株式会社匠家

建物に水平方向に働く地震や風の力に抵抗して、建物が倒壊しないように支えるものが「耐力壁」で、その必要量は前回で書きましたが、建物にねじれや変形が起きないようにするためには、バランスよく「耐力壁」を配置することがその必要量以上に大事なポイントとなります。

 

◾偏心率とは?

構造計算では、建物の重さの中心(重心という)と、地震や風の力に抵抗する耐力壁の強さの中心(剛芯という)をそれぞれ計算しこのズレを数値化したものが偏心率といいます。

バランスの良い配置とは、この重心と剛芯ができるだけ近づいて配置されている状態をいいます。

一般的な住宅の場合、重心は建物の中心部付近となりますが、南面には大きな窓を配置し、北面には窓が少なく壁が多く配置されます。そうすると東西方向の剛芯は建物の中心から北側によります。重心と剛芯のズレ(距離)がある一定の数値より大きくなると、水平力(地震力)が働いた時には、耐力壁の量が満たされていても、建物にはねじれが生じてしまい最悪の場合倒壊につながってしまうこととなります。

阪神・淡路大震災ではねじれによる倒壊が多く発生したため、現在の建築基準法では偏心率を求めてチェックすることが求められます。が、この計算方法は難しいため偏心率を計算しなくてもバランスをチェックする方法として4分割法が規定され、この規定を満たしていれば偏心率を計算しなくてもよいとされています。しかし建物には様々な形状があり4分割法も万能ではありません。

例えば南側の屋根のみに太陽光パネルが乗っている場合や、セットバックやオーバーハング、小屋裏がある建物などは重心が建物中心からずれます。またL字型やコの字形の平面形状の建物なども重心がずれる場合がありますので、このような場合には偏心率を計算してチェックする必要があります。

 

◾バランスのよい建物になるコツ

ご自身でプランニングする場合、バランスのよい建物になるコツを教えます。

まず建物の中心から最も遠い外壁に強い壁倍率の「耐力壁」を配置します。かつその反対側の外壁にも同じ数の「耐力壁」を配置すればバランスが取れます。これを東西、南北方向とも行えばバランスの良い建物になります。窓を先に計画するのではなく、壁を先に配置してしまうことが重要です。

さらにもう一つコツがあります。一般的には建物の四隅に壁を配置したほうが強いように思われていますが、外周部のどの位置に壁があっても強さは変わりません。建物の出隅に強い壁を配置すると基礎や柱・梁の接合部にも強い力がかかるので補強しなければなりません。出隅に窓を設けるほうが構造的には有利に働きます。2階の出隅の壁も同様です。

このように、家づくりのプランニングに於いて、「耐力壁」と「偏心率」の関係を理解することが大変重要となります。

0 コメント
0

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

本サイトはユーザーの利便性向上を目的に、Cookieを使用しています。「同意する」をクリックいただき、Cookieポリシーに同意をお願いいたします。 同意する プライバシーポリシー