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15:ライフラインの確保〜その1〜

今回は、電力・ガス(都市ガス・LPガス)・上下水道・通信などの「ライフライン」について学んでみましょう。どれをとっても、日常生活に無くてはならない大切なインフラ設備です。平時にはどのような準備と対策が必要なのか、また災害時にはどのような事に注意した方が良いのかを2回に分けて解説していきます。今回は、電力・ガスについてです。

 

電力について

1:災害時の電力供給

地震や雷、台風などの自然災害をはじめ、様々な要因により電力設備が被災すると停電が発生します。一般に雷や台風などの時は、比較的狭い地域で停電が発生して短時間で復旧する事が多い。しかし阪神淡路大震災や東日本大震災のような大規模な地震が発生すると、広い範囲で長期間にわたり停電が継続します。

災害時に停電が長引けば、避難や救急救命及び復旧活動に与える影響は大きく、停電により明かりを失うことは、人々に不安を与え、社会的混乱を大きくしてしまいます。

2:大規模地震発生時の停電復旧

変電設備が被災した場合には広範囲で停電が発生しますが、電力系統の切り替えや被災設備の切り離し、多重化された健全設備を使っての送電、移動用機器を使っての送電の再開などが行われ、1~2日でほとんどの地域で解消されます。

しかし、配電設備が地震時の建物の倒壊・火災、また広範囲での土砂災害・津波・液状化などの影響による電柱倒壊や電線の断線などの被害を受けた場合、道路が寸断され、復旧に必要な人員・資機材が投入できず、応急送電までに数日から1週間程度かかると想定されています。

防災士教本より引用

 

防災士教本より引用

 

3:電気による二次的災害の防止(家庭で気を付けること)

地震時の電気の二次的な被害として電気火災があります。これは、地震時に電気ストーブや、電気コンロ、観賞魚用ヒーターなどの熱を発生する器具が、転倒・落下・損壊などにより可燃物と接触して火災が発生するケースです。「地震発生時にスイッチを切る」「コンセントからプラグを抜く」「避難するときにブレーカーを切る」などにより火災発生を防ぐことができます。電力会社では、電線等が復旧した後、一戸一戸の安全確認を行ってから送電を再開します。

国や地方自治体では、電気火災を防止するため、「感震機能付住宅用分電盤」や「感震ブレーカー」の設置を推奨しております。補助金が出る地域もありますので、お住いの自治体へ確認してみてください。

※令和元年度 市町村別感震ブレーカー支援制度一覧
https://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/denkikasaitaisaku/pdf/shien2.pdf

 

[ご家庭で災害時の電気災害を防止するための6ヶ条]

①グラッと来たらスイッチを切って、プラグを抜く。

②避難するときは、ブレーカーを切る。

③電気器具の消火は、必ず消火器を使う。

④災害時、エレベーターには乗らない。

⑤切れた電線には絶対に近づかない、触らない。

⑥壊れたり、水につかった電気器具は使わない。

 

 

ガス(都市ガス・プロパンガス)

1:都市ガス

・都市ガスの災害対策

ガス導管は大半が地中に埋設されているため、地震の際には地盤変動の影響を受ける事が想定されるため、ガス導管を新設する際には、震度7の大地震(阪神淡路大震災クラス)でも耐えられる材料を使用しています。

・大地震発生時の都市ガス供給

ガス供給停止には各家庭単位と地域単位の2つの方法があります。

①各家庭単位での供給停止

各家庭のマイコンメーターには大きな地震(震度5以上)を感知すると自動的にガスを遮断する装置が付いています。ガスがストップしても、ガス供給が継続している地域では、簡単な復帰作業でガスが再び使用できます。

②地域単位の供給停止

ガス導管は網の目のようにつながっているため、一定規模の大きさの地域単位(ブロック)に分割され、ブロック単位でガスの供給の継続や停止を判断します。

・都市ガスの供給復旧

ガスの供給が停止している地域に対しては、ガス漏れが発生している状態での供給再開は危険な為、ガス会社がガス漏れを確認してから再開されます。

通常、道路に埋設されているガス導管の修理には道路掘削などが伴う為、復旧に要する期間は比較的長い期間になります。

 

2:プロパンガス(LPガス)

・LPガスは個別供給

LPガスは、パイプライン供給による都市ガスと異なり、住宅や商業施設の敷地に設置されているLPガス容器から需要家ごとに個別に供給されています。

都市ガスと同様にマイコンメーターで制御されており、震度5程度の地震で供給がストップします。

・LPガスの復旧

都市ガスのように、道路に埋設されているガス導管が無いため、災害時には、比較的早く復旧することができます。また、避難所などにも臨時に供給することができ、炊き出しや、簡易風呂・シャワーなどの熱源に使用される場合もあります。

 

3:もしも地震がおきたら??(覚えておきましょう)

・ガスを使っていたら

火のそばにいた場合はすぐに火を消す。ただし揺れているときに火を消すのは危険なので、火元より離れているときには無理はしないようにしましょう。

・ガス臭いときは

すぐにガス栓や容器バルブを閉めて、窓等を開け換気を行った後、ガス会社へ連絡しましょう。スイッチを入れた時に火花で火災の原因になることがある為、換気扇等の電化製品のスイッチは絶対に入れないようにしましょう。

・揺れが収まったら

①ガス機器周囲でガスの臭いがしないか。

②ガス機器本体や煙突などに破損がないか。

③ガス接続機器が正しく接続されているか。

上記3つを確認してガス栓を開けて使用しましょう。

・ガスが使えなくなったとき

ガス栓を開けてガス器具が使えなかったら、マイコンメーターを点検し、下記の図の手順で復帰操作を行いましょう。

防災士教本より引用

防災士教本より引用

 

 

4:平常時からの準備や心構えとしては

・普段からガスメーターの設置場所と使用方法を確認

集合住宅では、複数戸分のメーターがまとめて設置してある為、どれが我が家のメーターかわからない場合があります。

・ガス機器やガス容器の周りの整理整頓

特にガス容器はチェーンなどで固定されていることが大切です。

私の住む地域では、東日本大震災の際に電力需要切迫の為、計画停電が行われました。信号や街灯も点灯してなく、家庭から漏れる明かりもなく、東京で暮らしていて初めて月・星明りがきれいだなって思ったものです。

ロウソクと懐中電灯で明りをとり、電池式ラジオで情報収集しながら、解放式の石油ストーブで暖を取り家族で食卓を囲みました。ガス給湯機も電気がないと使えない為、お風呂やシャワーも使えませんでした。

 

その経験から、電気もガスも止まってしまった「いざ」という時の為に、ろうそく懐中電灯電池式ラジオカセットガスコンロ等の防災用品必ず備えておきましょう。

薪ストーブなどは、暖を取る事はもちろん、お湯を沸かしたり、料理の熱源としてかなり有効な商品です。匠の会の会員社では、感震ブレーカーや感震分電盤、薪ストーブを取り扱っておりますのでお気軽にお問い合わせください。

 

次回は、ライフラインの続きで、「上下水道・通信(固定電話・携帯電話)」について解説していきます。

今後も災害時に役立つ情報をお伝えしていきます。

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