日本にある火山
日本は世界でも有数の火山が多い国です。火山が多ければその活動で災害をもたらすリスクも多くある事は誰でも思う事です。火山の中でも噴火活動をする可能性のある火山を「活火山」と言います。我が国には、北方領土や海底火山を含み111カ所の活火山があります。富士山も活発な噴気活動をしている活火山の一つです。
火山噴火のメカニズム
噴火はマグマが地表に近づくことで起こります。マグマは地球内部の高温の岩石がその浮力により地表面近く(数十~100km程度の深さ)に達するとこにできます。そのマグマが停滞し「マグマ溜り」となり、マグマ溜りに蓄積したマグマの結晶化が進むなどして再び浮力を得ると、やがて地表に向かって移動し火山噴火を起こすと言われています。
噴火の前兆としては
- 地表に向かってマグマが上昇する事で地震が発生します。
- 上昇するマグマが火山体を押し広げごくわずかですが地殻変動が起こります。
- 高温のマグマにより周辺の岩石の温度も上昇し岩石の持つ磁力が低下したり、地下水の温度上昇が起きます。
マグマの移動速度はその粘性に反比例するので噴火の予知に繋げるのは現状困難と言われています。
火山噴火がもたらす災害
- 火砕物による被害
火口から放出される噴火物(小さい方から「火山灰」「火山レキ」「火山岩塊」)により、大きな火山岩塊でも周辺4km程まで飛びます。また、火山灰は航空機や車などの交通機関だけでなく、生活環境の悪化をもたらし経済活動に対しても被害を与えます。
- 溶岩流による被害
火口から流出した通常900度~1200度のマグマが火山の斜面を低い場所に向かって流下し山林や住居を焼失させます。1983年の三宅島噴火での被害などが有ります。
- 火砕流・火砕サージによる被害
溶岩片などを含む高温の粉体(溶岩片と火山ガスとの混合)が、内部の温度数百度以上で流下速度は時速100kmを超える高速で流れるものを火砕流と言います。
その火砕流の先端や周囲に発生する比較的溶岩片の少ない熱風状のものを火砕サージと言い、火砕流や火砕サージの通り道にあたった場所ではすべてのものが焼き払われてしまいます。1990年の雲仙普賢岳噴火がそれにあたり大惨事となりました。
- 山体崩壊による被害
火山は自身の噴火物などが降り積もったルーズな地形で噴火や地震により山自体の崩壊が起こり「岩屑なだれ」や「土石流」が発生し大きな被害をもたらします。1888年の磐梯山の水蒸気噴火に伴う山体崩壊が有名です。
- 土石流(火山泥流、ラハール)による被害
火山地域で発生する、火山噴火で降り積もった火山灰などの細粒の噴火物が降雨により一挙に流れ出す事を火山泥流もしくはラハールと言います。約5年続いた雲仙普賢岳の噴火では、降雨によりたびたび土石流災害を引き起こし多くの住宅が埋没しました。
- 火山ガスによる被害
火山ガスはほとんどが水蒸気ですが二酸化炭素、二酸化硫黄、硫化水素などの有毒ガスも同時に放出されます。三宅島噴火では二酸化硫黄の噴出により避難した住民が帰島できるまで4年5か月を要しています。
噴火活動への対策
火山噴火が「いつ」「どこで」「どれくらいの規模で」「どのような噴火が」「いつまで続くか」を予測するのはかなり困難であるが、111ある活火山のうち気象庁による常時観測火山は50火山(2016年現在)有り、24時間体制で監視されています。また、2015年からは「噴火速報」の運用も開始されています。
2020年現在では、桜島、浅間山、御嶽山、日光白根、阿蘇山など37火山について「噴火警戒レベル」の判断基準とその解説が公表されています。
火山活動が活発な地域にお住まいの方はもちろん、周辺地域の方や旅行に出かける方なども、普段から噴火や地震の前兆現象に注意を払い、的確な情報収集の手段を事前に知ることで身を守る行動に繋げましょう。
自分の命を守る為には、災害について深く学ぶことが大切です。